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恐怖の地政学

恐怖の地政学_d0098363_15553155.jpg「恐怖の地政学 ―地図と地形でわかる戦争・紛争の構図」
ティム・マーシャル (著), 甲斐 理恵子 (翻訳)
出版社: さくら舎 (2016/11/4)
Amazon中古=780円
★内容紹介

なぜ戦争が起き、なぜ紛争が絶えないのか! 地形は、そこに暮らす人に大きな影響を与えてきた。
地政学とは、国際情勢を理解するための地理的要因に注目する。
今、日本にとって重要なのは中国、ロシアの地政学である。
中国はなぜ海洋に進出しようとするのか(中国の動向に関しては大半の章で触れている)。
ロシアはなぜクリミヤを侵略したのか。
アメリカは200年以上にわたり、非常に有利な地理的環境で利益を得てきた。
しかし、今、なぜアメリカの時代は終わったと言われるのか。
本書は20枚の地図(地形もわかる)で地球上の危機と平和を考察している。
地政学とは「国際情勢を理解するために地理的要因に注目する学問」のこと。

「山と川そして海」がいかに重要かよくわかる。
山や川や海は国境になる。また山脈は自然の要塞にもなる。
気候や人口統計、その土地固有の文化、天然資源の埋蔵量、これらを考えないで国の統治は不可能だ。
政治的、経済的、軍事的戦略から人類は、この要素が原因で国と国の争いをやってきた。


もっとも注意すべきは航路だ。
物を運ぶのには飛行機、鉄道があるけど、輸送設備と輸送能力という面でタンカーなどの貨物船は圧倒的だ。なにしろ広大な飛行場も果てしなく長い線路もいらない。
スエズ運河。パナマ運河、キール運河などが有名だけど、これは輸送の必須運河だ。つまり石炭石油をはじめさまざまな物資を輸送する。エネルギー、食料自給率など外国に依存している日本は、ここが寸断されたら日本は終わりだ。
中国は航路確保に必死だ。新たな運河建設に莫大は資金を投入しているし、温暖化の影響で溶け出した北極海航路にも参入している。13億人の国民を飢えさせたらあっというまに中国は大混乱になるからだ。それは日本も同じだ。
だから資源の豊富な国は有利だし、国交を結ぶのにそれを最大限使って相手国と交渉する。国交がなければ寄港することもできない。
国の発展に港は欠かせない。


ロシアの国土は日本の45倍もある。だけど、人口は1億4500万人、日本は1億2657万人と人口では大差がない。人が生活する土地がそれだけ少ないということがわかる。また、ソ連からロシアに分離独立したのは1991年。ロシアになってからまだ27年しか経っていない。これは国境と統治システムが原因だ。一方の日本は四方が海で地続きの国境がないため国際紛争とは縁がない。

中国とインドは人口がともに13億人と拮抗している。人口ではおそらく近いうちにインドが中国を追い越すだろう。
両国は仲が悪い。しかしヒマラヤ山脈がその存在だけで争いを抑えている。地政学的には、エベレストは「争いをするな」とばかりにそびえ立っている。お互いを攻め込もうとしてもあのヒマラヤを越えなければならない。

筆者は地球上のすべての地域について、過去の歴史、文化、宗教などを地図をもとに解説している。そしてその地域はこれからどんな動きをするか予想している。うなずける指摘が多い。

実感したのは「民族意識」という観念。それとイギリスを始めとする過去の列強国の影響の強さだ。

植民地支配から戦後独立した後進国は、ヨーロッパ各国がテキトウに線引きした国境でいまだに争いが起き、迷惑している。

その地域はアラブ人が多数だとか、漢民族が勢力を伸ばしているとか、言語はアラビア語だとか、宗教はイスラム教だけど、シーア派とスンニ派に分かれているからきちんと確認しなくてはならない。
つまり国家の存在以前に、人種や言葉や宗教が存在しているということ。

国が英語を公用語としていてもそれを認めないという人々がいる。

日本に住んでいて「日本語を使うな」と言われたらどうだろう。日本人には理解が難しいかもしれない。

そういう面では日本はわかりやすい国だ。

これからは45億人の人口のアジアの時代なのは間違いない。世界の半分がアジアに住んでいる。特に中国とインドの動きが注目されるだろう。両国とも国民の食料を確保しなければならない。そのため特に中国はアフリカをはじめ各国に莫大な投資をしている。インドは統治が未成熟で貧困は解決されていない。
一度も選挙が行われていない中国がこのまま発展するとはとても思えない。良くも悪くもこの2つの国が世界に大きく影響するだろう。
アジアの国々にリーダーシップの意識が希薄なのは、今だに植民地時代の影響を脱却できていない面もある。(建国中)
そうなるとアジアのリーダーをなんだか怪しい中国に任せるわけにはいかない。インドはどうしたらいいか混沌のなかにある。
アジア地域で、近代化され成熟した社会は日本だけだ。国民は温厚で勤勉だ。
そのことを日本人はもっと意識すべきなのだろうと思う。


GNP世界3位の日本はだからこそ今がチャンスなのだ。
アジアの最先端を行っている日本はまさにリーダーシップをとる立場にある。
アメリカの属国から抜け出すことを世界中が期待しているのに、国民は立ち上がらないで、目の前の損得勘定で生きている。
地政学的影響から?島国なので、もともと世界を読む力がないし、異人種経験がまったくないから、議論を通じて相手を説得することができない。だから外交が下手くそなままだ。


ドイツで暮らす日本人に言わせると
「ドイツ人は休暇のため働く。日曜日はお店すら完全休業。残業はあまりしない。それでも経済力や競争力では世界トップクラス。
日本では奴隷のように働かされて給料低く、企業と利権者が儲ける。大学は無償じゃないし子ども手当も僅か。
この背景こそしっかり学んで変えたいところ。諦めないようにしよう。」

「社会福祉とか、教育とか、国の制度はアジア諸国の手本になるように改善しなければならない。だから政府の監視は大事だし、おかしいいことを黙ってみていてはいけない。選挙は誰に国の舵取りを任せるか、国民が意思表示できる唯一の手段だ。」
こういう意識も必要なのだろう。
世界を見る、知るということができない日本。意図的に意識的にメデイアに寸断されている日本。世界を見る知ることを怠ればその国の国民は必ず不幸になり、いいことは一つもない。それは歴史が証明していること。


「日本人はどこへ行こうとしているのか、どんな国にしたいのか、他国はどうなっているのか、それさえも考えない。富の分配・税の負担制度を変えるだけで大きく改善するというのに。悪徳政権が長続きするわけだ。



by 2006taicho | 2018-10-17 00:39 | 最近読んだ本 | Comments(0)

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by rei7955