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国体論 菊と星条旗

国体論 菊と星条旗_d0098363_1412560.jpg国体論 菊と星条旗
白井 聡 (著)
集英社新書 – 2018/4/17  1,015円




この本のきっかけは、天皇陛下の生前退位発言をTVで観ていて、これは天皇陛下からの危険信号だと感じたからだという。

「国体」とはー(天皇制度を核とした)国家体制のこと。
例を挙げれば「欲しがりません勝つまでは」も、当時の国家体制だったし、戦後の「所得倍増計画」も当時の国家体制ということになる。

戦後レジーム(せんごレジーム)とは戦後(第二次世界大戦後)に確立された世界秩序の体制(ヤルタなど)や制度の事を指す。

つまり国体とよぶ場合、その期間・歴史はずっと長い体制ということになる。


国体が日本ではどのように変遷してきたか、特に明治以降の背景、要因を分析。
現代にまで分析は及ぶ。
国家を統治する天皇の役割、政権がどのように利用したかなど、その歴史を学ぶにはいい本。



タイトルにある「菊」は天皇支配、そして「星条旗」は戦後の支配体制。
つまり、天皇が人間宣言をし、象徴となってから、国民を統治する存在としてマッカーサー率いる進駐軍としてのアメリカが支配者として国家建設を行った。
アメリカとイギリスは1941年には、イギリスのチャーチルとルーズベルトとのあいだで大西洋憲章を締結。第二次世界大戦後の世界について話し合っている。
つまり、日本はまだ真珠湾攻撃も行っていない段階で、すでに戦後の世界を論じている。
終戦の数年前には、アメリカはすでに日本についての分析を行っていて、戦後の日本をどういう体制にするか計画していた。
それは政治・経済・法律・教育・医療など日本国内の殆どに影響し、現在に至っている。
アメリカ迎合、アジアの国々を上から目線でみる習慣化された優越意識。
天皇を仰ぎ見て、無条件で服従する国民意識。
その国民意識を存続するための様々な事件、処刑、抹殺、画策、謀略。

天皇家の人々を、一般の国民は、我々とは出生が違うんだと思っている国民は多いのだろう。
特別に高貴な人々であり、その家系は原始日本国の始祖であり、さかのぼっていくと神話にまでたどりつく。天皇は神、日本は神国であるという根拠を与えている。
天皇は神の末裔と考えている人さえいる。
普通に考えればそんなことありえないとは思わない。
しかし『古事記』『日本書紀』には天皇家の世継ぎのなかで、様々な醜い闘争、血生臭さい殺人・確執が記載されいている。高貴な家系とはおよそかけ離れた実態がそこにはある。
つまり一般人である国民のほうがよっぽど品行方正なのだということを多くの国民はまったく知らない。
時の支配層が隠蔽してきたからだ。
天皇は特別な人、現代の日本人に確実にその認識は植え付けられている。
この共通認識を植え付けるのに、今なら電通はいくら宣伝費がいるだろう、どのくらいの期間が必要だろうと思うくらい。
「天皇陛下がお言葉を述べられました」
「天皇陛下が崩御されました」
「皇居の一般参賀に何万人の国民が集い、皇室の方々とともに新年の行事が滞りなく行われました。」
特に誰に教わったわけでもないが、国民は普段は使わないこの言葉使いをおかしいとは思わない。
「天皇家のことだから」
しかし、説得力ある、明確な説明は誰もできない。
皇室批判はタブー、今も確実に存在している。
メデイアをみれば明らかだ。

戦争は軍部の一部の将校たちがやったんだ、天皇はいやいやだったんだ、だから天皇には責任はない。
陸海空の軍隊を統括し、国家元首であった天皇。
組織体制としては天皇の決断と命令で戦争は始まり、天皇の決断と命令で作戦は遂行された。結果何十万人の国民が死んだ。
しかし天皇には責任はない。軍部がすべて悪い。軍の幹部たちは裁判で死刑になった。だから戦争責任についてはもうとっくに終わっている。隣国の人々が犠牲になったのも軍部のやったことであり、自分たちのせいではない。天皇や国民は犠牲者でもあるからだ。
こういう意見は確実に存在する。
では逆に隣国がそういう意見を言ったらどう思うだろうか?
日本国民が犠牲となって死んだのは、金正恩がやったこと、習近平がやったこと、自分たちは悪くない。70年以上も前のこと、もう済んだこと、今更言っても始まらない。


日本の学校では歴史についてなぜか明治維新までは熱心に教える。しかし太平洋戦争については急ぎ足になり、授業はそこで三学期末となって終了する。
原爆投下、終戦、玉音放送(天皇のお言葉)だけは記憶に残る。

生徒たちが生きてゆく上でいちばん大事な日本の戦後については教えない。
直近70年のことは教えない。






by 2006taicho | 2018-07-31 15:20 | 最近読んだ本 | Comments(0)

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by rei7955