「映画術 その演出はなぜ心をつかむのか」 単行本 – 2014/1/22
塩田明彦 (著) Amazon中古2,096円
映画美学校というのがあるらしい。
そこで、この塩田氏が俳優志望の生徒たちに7回にわけて講義したのもの。
映画におけるもっとも重要なエモーションとは、映画を観ている観客の心の中に生じるエモーションに他ならない、(略)つまり観客は映画を観ながら「演技」を鑑賞したいんじゃなくて、エモーションを感じたいんです。俳優が演技をしていることすら忘れて、映画や登場人物に没頭したいんです。観客をそこまでもっていけたときに、俳優は初めて優れた「被写体」になるんです。だから単に演じることの上をいくことなんですね、被写体になるっていうことは。(ジョルジュ・フランジュ「顔のない眼」)
「他者」から見られている自分を意識しているか否か、人物と人物の関係性を意識しているか否かにあります。単に俳優として共演者の演技を受けるだけでなくて、ひとりの人間として他人をどう意識しているのか、という問題です。(ガス・ヴァン・サントの「サイコ」における俳優の演技とヒッチコックの「サイコ」におけるアンソニー・パーキンスとジャネット・リ―の演技の違い)
(今の「喜劇役者」が)いまひとつピンとこないのは、たぶん、その人たちが「おかしい」ことをやろうとしているからなんですね。でも寅さんは別に、おかしいことをやろうとしているわけではないですよね、多少やるけれども、基本的には「ずれている」ことが大事で、常に他の人とは違うエモーションで生きている。そのことを人生のスタイルにしている、ということが大事なんであって、その場で感じたことを人より大仰にリアクションすることが喜劇俳優の役割ではないんです。(森崎東「男はつらいよ フーテンの寅」)
内から溢れ出てくるものと、ひたすら外から見つめることによって蓄積してきたもの―内側から生れ出ものと、外側からの蓄積によって見えてきたものがスパークした地点に立ち上がってきているもの、それを僕は「魂」と呼んでいるんです。(ジョン・カサヴェテス「こわれゆく女」)
寅さんの映画は涙あり笑いありで綴られてゆくけど、観客はそれである意味ホット安心するのがパターンだ。
ヒロインは結構深刻な問題を抱えたりしていて、それを寅さんが気にするなとばかりに軽い気持ちにさせてくれている。
寅さんがスクリーンに現れると、観客はヒロインの深刻な問題を軽くさせてくれることをどこかで期待する。
そしてその通り寅さんは、自分のヒロインへの思いを隠して見事に解決してくれる。
そんなストーリーを追っているあいだ、観客は寅さんや他の役者の演技などにはほとんど気にかけない。
役者はみんな本当は「演技をしている」のに、その場に定着して違和感がない。
役者はまばたきをしないでセリフを言うのが基本だと思います。
まばたきをするのも演技のうちという技術は最低限のもの。
それくらいわれわれは日常でまばたきをしている。
目はだから大事なんですね。
日本映画はTVも映画も?です。
主演は今一番人気のある十代や二十代の若い男女。
どうして、三十代とか四十代の俳優を使わないのか。
経験のない若者が主役だから映画が薄っぺらなものになっている。
映画やドラマが幼児化している。
それと演出でいうとカット割りが日本は少ない。
会話のシーンなんかでいつも思う。
喋っているシーンではきちんと役者の上半身を写してほしい。
なんでもないシーンなのに俳優の顔のアップが多いいのも不思議。
重要な場面になると、役者の顔をアップにして、長写しするのもやめてほしい。
観客はそんな写し方をしなくても、それくらいは読み取るよと言いたい。
とにかく説明的すぎる。
韓国映画のほうがよっぽど先を行っている気がする。
Commented
by
cocomerita at 2017-04-14 17:32
ciao taichoさん
同感です
日本のドラマは、、そうそうその役を演じている人々が全く深みのない存在だから
まるで小学校の学芸会を見てるかのような気にさえなってきて、
全然引き込まれないから 見る気にもならないし
日本のお笑いもどうだ、面白いだろうという相手の下手な思惑のみが伝わってきて 逆にしらける
多分 作ってる方も 観る側を舐めてて この辺でお茶濁してもどうせわかんないだろう、と思ってるかのようです。
つまり どこを見てもちゃち。なんですよね
ちなみに、、寅さんは どうしても最後まで好きになれませんでした。
同感です
日本のドラマは、、そうそうその役を演じている人々が全く深みのない存在だから
まるで小学校の学芸会を見てるかのような気にさえなってきて、
全然引き込まれないから 見る気にもならないし
日本のお笑いもどうだ、面白いだろうという相手の下手な思惑のみが伝わってきて 逆にしらける
多分 作ってる方も 観る側を舐めてて この辺でお茶濁してもどうせわかんないだろう、と思ってるかのようです。
つまり どこを見てもちゃち。なんですよね
ちなみに、、寅さんは どうしても最後まで好きになれませんでした。
0
Commented
by
2006taicho at 2017-04-16 23:50
日本映画は黒澤、小津、溝口監督以降、なんだかなあという印象があります。
寅さんは、男性から見たら羨ましい部分があるんだと思います。普段は地方から地方へ旅をして、ある意味放浪者ですからね。男性はそういうのに惹かれますね。
寅さんは、男性から見たら羨ましい部分があるんだと思います。普段は地方から地方へ旅をして、ある意味放浪者ですからね。男性はそういうのに惹かれますね。
by 2006taicho
| 2017-04-13 09:22
| 最近読んだ本
|
Comments(2)