「子供を殺してください」という親たち 押川剛/著
新潮社 2015年出版
最近メデイアでも取り上げられているので知っている人も多いかと思います。
著者は
精神疾患あるいは精神疾患の疑いのある家庭内暴力 金銭トラブル ストーカー 近隣トラブル 非行 薬物乱用 依存症 認知症に関する問題を解決などをメインに活動している。
一例を挙げれば、
引きこもりで家族に暴力をふるう子供をなんとかしてほしいという依頼がくる。
相談に来る親は、息子の暴力が怖くて、息子のいいなりになっている。
家族はほとんど崩壊状態。
経済面も息子の浪費の尻拭いに追われ、金銭的にも困窮状態。
極限まで追い詰められた親が言う。
「息子を殺してください」
今まで1000人以上の、病んだ人を施設などに収容し、治療にあたっている。
原因は家庭によってみんな違うという。
本人のせいもあるし、病気のせいもあるし、育て方の問題、夫婦に原因がある場合もある。
個々の家庭の実例が、あまりに悲惨で過酷だ。
毎日のように起きているこの種の事件の背景が見えてくる。
殺人や傷害、ストーカーなど、われわれは条件反射的に容疑者を憎む。
しかし、こういう場合もあるんだということを知ることができる。
精神疾患という表現が頻繁に出てくる。
そういう患者に対して、公共施設の現状、人員不足、理解不足、法律の不備など、現状を訴え、「こころ」を病んだ人への対応の遅れを指摘する。
読後、ためいきしか出なかった。
by 2006taicho
| 2016-06-16 06:41
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