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「1秒24コマの美 黒澤明・小津安二郎・溝口健二」

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「1秒24コマの美 黒澤明・小津安二郎・溝口健二」
 古賀 重樹 (著)  単行本 – 2010/11/30
 Amazon中古1,874円



1秒間に24コマ撮るフイルムを連続して写すのが映画。
この本で知ったことは三人共、絵画に造詣があったこと。
三人共東京の下町で生まれ育ったこと。



溝口健二はヨーロッパでは黒澤より人気があり、当時のヌーベルバーグ(1960年代)の監督たちに多大な影響を与えている。
黒澤明にいたっては18歳のときに二科展に入選している。




黒澤明が雨と風にこだわったのはそんな理由があったのかと思う。
映画「生きる」で主演の志村喬に傘を差し出す役の菅井きんは
「もう大雨の中で、寒くて演技どころじゃなかった」
それが自然な演技につながったという。
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上からの雨もそうだが、地面から跳ね返る雨粒が豪雨を表現している。







小津安二郎監督 「秋日和」の1シーン
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原節子の後ろにある絵は梅原龍三郎の本物の絵。
これ以外にも、東山魁夷など巨匠たちの本物の絵が出て来る。

小津は、姿勢や所作にうるさく、「あと何ミリ前に」とか、「盃を口に持ってゆくのではなく、口を盃に近づけて」「そのほうが酒飲みに見える」という演出をしたという。
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「東京物語」の冒頭のシーン。
子どもたちに会いに夫婦二人で東京へゆく準備をしている。
ラストシーンでもまったく同じ構図で写すが、亡くなってしまった妻の姿はない。
空間だけがある。
夫は寂しいとも言わないし、特に表情はないが、一人きりになった夫(笠智衆)の寂しさがひしひしと伝わってくる。







溝口健二監督は生涯、女性だけを撮り続けた監督。
シーンの長回しが特徴。
「元禄忠臣蔵」 松の廊下の有名なシーン。
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このセットは360度どこからも撮影できるセットでサイズは原寸大。
美術担当者は、国会議事堂を設計した学者が松の廊下の設計図を持っていることを知り、それをもとに復元したという。









by 2006taicho | 2017-04-18 01:11 | 最近読んだ本 | Comments(0)

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by rei7955