TBSアナウンサー 林 美雄の軌跡


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           「1974年のサマークリスマス」柳澤 健 集英社(2016年5月)



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 1960年後半~1970年代は深夜放送の時代でもあった。
 「オールナイトニッポン」「パックインミュージック」は人気を二分していた。
 放送時間は深夜1時から3時までの二時間と3時から5時までの二部構成だった。メインは一部のほうで、時のDJは中高生を中心に絶大な人気があった。
 はがきでのリクエストという手法が定着したのもこの時期だった。
 しかし、この本は大人気だった、なっちゃんちゃこちゃんのほうではない。二部の放送を担当したTBSのアナウンサー・林美雄にスポットをあてた。

 深夜3時からのラジオ放送なんかにスポンサーも付かない時代で、TBS内部でも誰も期待していない番組だった。
林はそこで日本映画、埋もれている唄や歌手を次々と紹介する。当時の日本映画は斜陽の時代で衰退の一途をたどっていた。林は自分で観た映画を自分の感性で熱心に紹介し続ける。
藤田敏八監督「八月の濡れた砂」その主題歌を歌った石川セリや、デビューしたての荒井由美や山崎ハコをスタジオに呼んだ。
そしてそれが次第に拡散してゆき、リスナーが増え、さまざまなイベントが行われる。
当時のリスナーたちの証言や、ゲストの話、同期入社だった久米宏や先輩アナウンサーたちが当時を振り返る。
林美雄は2002年7月ガンで亡くなる。享年58歳。
林の息子は、父親の危篤のしらせを学校で聞いた。
担任教師から打ち明けられる。
「今まで黙っていたけど、私も君のお父さんの放送を聞いていたんだよ」

深夜放送世代にはたまらない本だと思う。
当時の自分たちの心情が、いろんな出来事とともに思い浮かぶ。
時代背景もあるのだろうけど、当時のアナウンサーたちの社会への意識レベルが高いことがよくわかる。

 


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ユーミンの初期のアルバム二枚は、十代のころに作っておいたものらしい。
ユーミンのファンクラブはこの番組の熱心なリスナーが作った。
しかし、ユーミンは商業主義に走って、初期のファンを失くし、ファンクラブも解散。
たが、林は常に変わらずユーミンに接していた。









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by 2006taicho | 2016-08-19 00:33 | 最近読んだ本 | Comments(0)