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隊長ブログ

近況

学生の貧困

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東京新聞は新年から学生のローン問題をやっていた。
正月から暗い話題だなあと思いつつ読むと、日本の学生もアメリカの学生たちに近づいていることがわかって暗澹とした気分になる。
そういえばそうだよなあと。

ある男子学生の場合は母親が離婚し、派遣社員やパートの仕事で一家を支えてくれている。
大学進学なんて夢のまた夢。
でも将来を思うと、大学は行っておいたほうがいいと思う。
そうなると奨学金に頼らざるを得ない。
無事入学しても、仕送りがないからアルバイトをせざるを得ない。
最低賃金以下で働かされ、辞めるに辞められずブラック企業の貴重な戦力とされる。

大学を卒業しても就職難。
ローンの返済は卒業と同時に始まる。
三ヶ月滞納すると督促がはじまり、六ヶ月滞納するとブラックリストに載ってしまう。
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一方で、そんな実態を知ったある女子大生は風俗のアルバイトを始める。
毎月親に20万円も仕送りし、卒業時にはローンゼロを目指している。
「親もうすうす勘付いているかもしれないけど・・・」
卒業したら風俗はきっぱりやめて、まともな就職をするという。

学生時代はお金がなくてさあ、よく聞く会話。
だけど、そこにはその貧しさも楽しい経験として残っていた気がする。
笑いながら振り返るようなことだった。
しかし、今の現状はどうも違うしおかしい。




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日本育英会という学生を経済的に支援する団体があったが、2004年「日本学生支援機構」なるものに変わっている。
そこから”奨学金”は変貌した。
公的機関であるはずの日本学生支援機構は民間からの資金を導入し、奨学金制度を金融事業として展開した。
年利は上限3%、奨学金とは名ばかりで、利子で利益をあげる金融ビジネスとなった。
年利上限3%ともなれば、銀行の株式会社への融資と変わらない。
多くの大学生たちと連帯保証人となる親は、金融業者の顧客なのだ。
まだ何者でもない高校卒業したばかりの未成年に、多額の負債を負わせるという常識を逸脱した制度が、大学進学率の上昇の波に乗って全国に浸透していたのだ。
将来、なんの職業に就くかわからない高校卒業したばかりの未成年に有利子のお金を貸しつけるのは、どう考えても無謀だ。
返済の一時猶予や返済期間延長の仕組みこそあるが、実質上、救済制度はほとんどない。
そして、債権回収の専門会社からの取り立てが始まる。クレジットカードやサラ金と同じなのだ。

これはアメリカの場合とまったく同じだ。




キャンパスライフを謳歌している学生なんて、今はどれくらいいろんだろうかと思う。
それ以上に心配なのは、彼らがどんな人生観を持つかだろう。
「あそこの家は親がしっかりしていて、お金があるから」昔、そんな話を聞いた。
お金があることで、人格まで評価してしまうような風潮。
社会の基準が「お金」で決まってしまっている実情。
世界の金融市場規模は兆を超えて京の位に達している異常さ。
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パソコン画面を睨み、ボタン一つで莫大な富を生み出す異常さ。




そして、弱者救済どころか、ますます弱者を切り捨てている政治の実情。
ちなみに日本の教育予算は先進国では最低。
教員の勤務時間は最長だ。
そうなると教員は、授業を工夫する余裕がなくなり、一方的な授業を何年も繰り返す。
自らが学ぶことを教わらず、受身の子供たちが生産されていく。




構築されてゆくのは、スピードに流され目先の利益を追い、他人に構わずうわべだけの社会とその国民。
生きてゆくのに、わが子さえも疎ましいと感じてしまう若者夫婦。

人間にとって地球は大事だけど、地球にとって人間ほど邪魔な存在はない、誰かが言っていた。
by 2006taicho | 2016-01-19 18:52 | 近況 | Comments(0)

おかしいことはおかしいと言う


by rei7955